DioDocs for Excel

処理パフォーマンスの改善

数式、帳票テンプレート、ファイル操作といった主要な機能においてパフォーマンス改善が行われています。

  • 数式
    以下の関数で検索・計算性能が大幅に改善されます。
    • VLOOKUP、XLOOKUP、HLOOKUP、LOOKUP、MATCH、XMATCH、UNIQUE
      大規模範囲に対する文字列検索が高速化
    • AVERAGEIF
      条件付き平均の実行速度改善
    • POISSON.DIST
      大きな引数でも安定して正しい結果を返却
    • COMBIN
      大きな値を扱う場合の実行速度改善
  • 帳票テンプレート
    ITableDataSourceを利用した大規模データ処理を行う際のメモリ使用量を削減
  • ファイル操作
    DefinedNamesを大量に含むワークブックの開閉、保存の実行速度を改善

選択範囲に応じてチャートシートのズームを調整

チャートシートをウィンドウサイズにあわせて自動的にズームを調整できるようになります。Microsoft Excelでは「選択範囲に合わせて拡大/縮小」を設定してグラフシートを選択範囲にフィットさせて表示することができますが、同様の設定を実装することが可能になります。

チャートシートを選択範囲に応じて自動的にズーム調整

図形やグラフ、画像などの代替テキスト

ワークシート上の図形やグラフ、画像などのオブジェクトに対して代替テキスト(AlternativeText)と 装飾フラグ(Decorative)を設定できるようになります。スクリーンリーダーなどの支援技術を利用するユーザーにとって、重要な視覚要素を適切に伝えつつ意味を持たない装飾要素は読み飛ばせるようになり、アクセシビリティを向上させることが可能です。

図形やグラフ、画像などの代替テキスト

新しいExcel関数(GROUPBY、PIVOTBY、PERCENTOF、TRIMRANGE)

V8J SP2では、データの集計や整理をより直感的かつ効率的に行える新しい関数が追加されます。

  • GROUPBY:指定した軸でデータを集計(フィルタリングやソートも可能)
  • PIVOTBY:行と列の2軸で集計し、ピボットテーブル形式の結果を生成
  • PERCENTOF:部分集合が全体に占める割合を計算
  • TRIMRANGE:範囲の先頭・末尾にある空白行や列を自動で除去

新しいExcel関数(GROUPBY、PIVOTBY、PERCENTOF、TRIMRANGE)

イータ縮小ラムダ関数(eta reduced lambda)

イータ縮小ラムダ関数は、ExcelのLAMBDA関数構文を簡略化して使用できる機能です。LAMBDA関数が「引数をそのまま別の関数に渡すだけ」の場合、LAMBDA宣言の記載を省略して関数名を直接利用することができます。

イータ縮小ラムダ関数(eta reduced lambda)

動的配列数式に対応した評価方法の追加

IWorksheetインターフェイスに新たにEvaluate2メソッドが追加され、Excel 2021/Microsoft 365 で導入された動的配列数式(Dynamic Array Formula)の評価が可能になります。従来のEvaluateメソッドはExcel 2019以前の挙動に準拠しており常に単一の値を返しますが、Evaluate2メソッドでは複数のセルにまたがる数式のすべての値を返します。

動的配列数式に対応した評価方法の追加

ShapeType列挙型に新しいタイプを追加

ShapeType列挙型に新しい値としてCallout(吹き出し)、FreeForm(フリーフォーム)、TextBox(テキストボックス)、Graphic(グラフィック)、Line(線)が追加され、ワークシート内でより正確に多様な図形を識別・操作できるようになります。

ShapeType列挙型に新しいタイプを追加

カスタム関数のエラー処理

従来では、カスタム関数の引数に「#N/A」や「#VALUE!」などのエラー値が含まれると計算が即座に失敗し関数がエラーを返していました。V8J SP2では、カスタム関数でエラー値をそのまま受け取り、検知・処理・代替出力ができるようになります。エラー値を処理するには、CustomFunctionクラスのAcceptErrorsプロパティを使用します。

  • AcceptErrors = false(既定値)
    引数にエラーが含まれている場合は関数は呼び出されず、セルに直接エラーが表示されます。
  • AcceptErrors = true
    引数がエラーであっても関数が呼び出され、エラーを検知・記録・代替処理できます。

SpreadJSとの互換性強化

SpreadJSとの互換性向上を目的として、以下の機能が連携対象として追加されます。

  • シート機能(ガント、レポート、テーブル)の情報を取得
    SpreadJSでは通常のワークシートに加え、テーブルシート、ガントシート 、レポートシートといった特殊なシートタブをサポートしています。V8J SP2では、SJS/SSJSON形式でロスレスにインポート・エクスポートできるだけでなく、APIを通じてシートタブの情報を取得できるようになります。
  • ワークシートの背景画像のサポート
    V8J SP2では、SJS/SSJSON形式で連携する際に背景画像データをロスレスに保持できるようになります。

DioDocs for PDF

AIアシスタント機能の追加

DioDocs for PDFをAIサービスと統合してPDFドキュメントのワークフローを強化することができるようになります。OpenAIまたはAzure OpenAIと接続してPDFドキュメントの内容から要約やアウトライン(目次)を作成したり、テーブルのデータを抽出したりできるようになります。

  • ドキュメントの要約
    重要なポイントだけを簡潔にまとめた概要、または流れや構成も含めた概要を作成します。

    ドキュメントの要約

  • アウトラインの作成
    階層構造を備えた目次を作成します。

    アウトラインの作成

  • テーブルのデータを抽出
    プロンプトを使用して、PDFドキュメントに含まれる表からデータを抽出します。

    テーブルのデータを抽出

DioDocs for PDF(PDFビューワ)

ツールバーとサイドパネルなどのUI変更

操作性を向上させるために、ツールバーおよびサイドパネルなどのUIを改善しています。これに伴ってページナビゲーション用の新しいショートカットキーやCSSクラスも追加されています。なお、従来のレイアウトを好むユーザーのために後方互換性も確保されています。

  • ツールバー
    よく使われる「保存」、「印刷」、「検索」ボタンがよりアクセスしやすい位置に移動されます。

    ツールバー

  • サイドパネル
    「構造ツリー」と「レイヤー」の配置が変更され、新たに「表データ抽出」が追加されます。

    サイドパネル

  • ナビゲーション
    ページナビゲーション用のショートカットキーが6つ追加されます。また、ナビゲーション関連のUIに対して4つのCSSクラスが追加されます。
  • コンテキストメニュー
    複数の注釈が重なっている場合でも、どの注釈を操作するかをコンテキストメニューから選べるようになります。メニューから図形を選択することで、その図形にフォーカスが当たります。

    コンテキストメニュー

WebAssembly(Wasm)の機能強化

V7J SP2からWebAssembly(Wasm)をベースにした新しいPDFビューワが導入されています。Wasmを使用したPDFビューワでは、従来のようにサーバーサイドに編集用APIをセットアップする必要がなく、クライアントサイドでPDFドキュメントの編集を完結することができます。V8J SP2ではV7J SP2導入時に制限事項となっていた以下の機能が利用できるようになります。

  • SVG形式へのエクスポート
    PDFドキュメントをSVG形式としてエクスポートできるようになります。

    SVG形式へのエクスポート