ActiveReportsは、帳票作成における多様なニーズに対応するため、用途に応じて選択できる4つの異なるデザイン方式を提供しています。
本ページでは、これら4つのデザイン方式の特徴と使い分けのポイントについて詳しく解説します。

4つのデザイン方式

帳票作成ツールのデザイン方式は主に4種類あります。「セクションベースのレイアウト方式」は領域を繰り返し表示、「ページベースのレイアウト方式」はページ単位でレイアウトを繰り返し、「フリーのレイアウト方式」は自由にデザインできる方式です。さらにActiveReportsの18.0Jで追加した、Webアプリケーション向けの「ダッシュボード向けレイアウト方式」です。

弊社が調べた限り、各帳票作成ツールはこれらのいずれかを採用していますが、それぞれ得意分野が異なります。

ここからは、それぞれのレイアウト方式の特長を紹介します。

セクションベースのレイアウト方式

Microsoft Accessのレポート機能やCrystal Reportsなど多くの海外発レポートツールがこのデザイン方式を採用しています。6.0JまでのActiveReportsもこの方式のみを提供していました。

セクションベースのレポートは、データ(レコード)の数だけDetailやGroupHeader/Footerといったセクションが繰り返し表示されることで1つのページが構築されます。セクションがそのページに収まりきらなくなった場合は、次ページにセクションが出力されます。つまり、帳票レイアウトはセクションの集合体であり、帳票デザインは個々のセクションの繰り返しを意識しながら、各セクションをデザインしていく作業といえます。この方式は、縦方向に明細を繰り返し表示する一覧表のようなレポートを非常に効率よく作成できます。

セクションベースのレイアウト方式

ページベースのレイアウト方式

日本の帳票開発ツールメーカーが提供するツールのほとんどがこのレイアウト方式を採用しています。ページベースは、セクションベースのようにページを構成する複数のセクションをデザインするのではなく、1ページを丸ごとデザインするのが特徴です。

これは緻密なレイアウトを実現するのに適したデザイン方式で、レポートのどの部分がどのセクションに該当するのか、セクションとレポートのマッチングを考慮する必要はありません。印刷結果とデザイン画面はWYSIWYG(what you see is what you get:見たままが得られる)の関係になります。繰り返しデータを表示する部分は、明細用のリストコントロールやTableコントロールといったレポート要素を利用することで対処します。また、WYSIWYGはエンドユーザーがレポートを作成するといったエンドユーザーレポーティングのシナリオにも適しています。

ページベースのレイアウト方式

コラム:なぜ日本の帳票ツールはページベースのデザイン方式が多いのか

欧米では19世紀の後半にタイプライターという脱手書き装置が登場します。英語圏ではこれが広く普及し文書作成はタイプライターで行う習慣が根付きました。文字数の少ない言語ではシンプルな機能のタイプライターであらゆる文書を作成できたのでしょう。それから100年が過ぎ、パソコンで文書作成を行うようになったとき、当然タイプライターで培った習慣がそのまま置き換わりました。

しかし、日本は違います。企業がパソコンで帳票を扱うようになる以前は、手書きが主流です(一部和文タイプライターなるものはありましたが)。印刷された伝票用紙に手書きで数字や文字を書いていく帳票がすでに日本の企業に浸透していたのです。また、手書きの見づらさを補うために罫線を多用したり、部分的に表を用いたりとさまざまに工夫された印刷伝票も普及していました。

そのような背景を持つ日本の帳票をIT化するのですから、パソコン上でも手書き時代の伝票や帳票をそのまま実現したいというニーズが生まれるのは自然の成りゆきといえます。こうして、見たままの結果を得られるページベース方式の帳票ツールが生まれたのではないでしょうか。

ページベースのレイアウト方式
日本仕様帳票の例

フリーのレイアウト方式

RDLレポートのデザイン方式は、SQL Server Reporting Servicesのようなフリーレイアウト方式を採用しています。セクションの出力位置やページの用紙サイズといったレイアウト上の制約を意識することなく、自由にレポートコントロールをレイアウトできます。繰り返しデータを表示する部分は、ページレポート同様、明細用のリストコントロールやTableコントロールといったレポート要素を利用することで対処します。そしてこれらのコントロールがデータ数に応じて伸長していき、印刷の用紙サイズに収まりきらなくなった場合には、セクションレポート同様、次ページに引き続きデータが表示されます。

このように、RDLレポートはページレポートとセクションレポートの特徴を合わせたデザイン方式と言えますが、ページレポート/セクションレポートとは異なる点が2つあります。ひとつは、複数のデータソースを手軽に使用できること。もうひとつは、2つのプレビュー方式(印刷する用紙サイズに合わせて改ページした「印刷プレビュー」、すべてのデータを改ページなしで閲覧できる「ゲラモード」)を持つことです。このため、いわゆる日本帳票のような定型の様式をもった帳票ではなく、データ件数が変化するレポートを柔軟に表示するのに適したデザイン方式です。

フリーのレイアウト方式

ダッシュボード向けレイアウト方式

ダッシュボードレポートは、RDLレポートをベースに、Webアプリケーション上でのダッシュボード作成に特化して設計された方式です。

「表示エリアのタブ切り替え」や「スクロール可能なコンテナコントロール」などの機能により、一つの画面上に多くの情報を見やすく、効果的に配置できるようにレイアウトが最適化されています。

さらに、複数のデータソースをもとに、テーブル、リスト、チャートなどで情報を可視化し、フィルタリング操作によってリアルタイムにデータを切り替えながら分析を行うことが可能です。

経営判断、マーケティング、営業、製品開発など、あらゆるビジネス領域で求められる「データドリブン」な意思決定を支えるダッシュボードを構築するのに最適なレポート形式です。

ダッシュボード向けレイアウト方式

セクションレポート

セクションレポートは、ActiveReportsの発売当初から提供しているレポート形式で、ActiveReports for .NET 6.0J以前のバージョンと同じ形式のレポートです。4つのデザイン形式の中で最も長い歴史と多くの実績を持つ、この形式の特長についてご紹介します。

大量データの一覧出力に最適

「セクション」と呼ばれるDetailやGroupHeader/Footerといった単位でレイアウトを設計し、データ(レコード)の件数に応じてこれらのセクションが繰り返し配置されることで1つのページが完成するレポート形式です。大量のデータを一覧形式で出力する帳票や、データの繰り返し表示を行う帳票に最適な方式です。

大量データの一覧出力に最適

コーディングで柔軟なレイアウト制御

セクションレポートは、Windowsフォームと同様のイベントモデルを採用しています。プロパティ設定だけでは実現困難な複雑な制御についても、Format/BeforePrint/AfterPrintのイベントを活用することで、開発者に馴染みのあるVB.NETやC#を使って帳票を自由自在にカスタマイズできます。Visual Studioのコードスニペットやデバッグ機能がそのまま利用できるため、アプリケーション本体と一体化したスムーズな開発作業を実現します。

コーディングで柔軟なレイアウト制御

長い歴史に裏打ちされた、信頼の証

セクションレポートは、ActiveReports初版から提供されている最も歴史の長いレポート形式で、これまで多くのユーザーにご利用いただいてきた高い信頼性を誇ります。
旧バージョンで作成されたセクションレポートの資産は、最新バージョンでもそのまま利用することができるため、バージョンアップ時の開発コストを最小限に抑えることが可能です。長年にわたって蓄積されたレポート資産を無駄にすることなく、継続的にシステムを発展させていけます。

ページレポート

ページレポートは、「ActiveReports for .NET 7.0J」で追加されたレポート形式です。ページ単位での柔軟なレイアウト設計が可能なこの形式の特長についてご紹介します。

WYSIWYGデザイナ

ページレポートは、WYSIWYG(What You See Is What You Get:見たままが得られる)方式を採用しており、デザイン画面での見た目がそのまま印刷結果に反映されます。完成イメージを確認しながらレイアウト作業を進められるので、誰でも直感的にデザインできます。

例えば、既存の紙帳票をもとにレポートを作成する場合、帳票上の表や項目名、数値欄などをそのままの位置・形で画面上に並べていけばよいため、「どこに何を配置すればいいのか」と迷うことがありません。文字や表の位置調整も視覚的に行えるので、細かい調整も簡単です。

WYSIWYGデザイナ

柔軟なデータの繰り返し処理

ページレポートではデータを繰り返し表示するための専用コントロールとしてTableコントロールとTablixコントロールを提供します。

Tableコントロール

Tableコントロールは帳票に表形式の明細を出力できるコントロールです。デザイン時にデータを出力する領域のサイズを定義できるので、繰り返すレコードの数に左右されず指定した位置までデータが入ります。

レコードが指定した行より多ければ次のページの指定した領域内に入りますし、レコードが少ない場合は、空行を入れることができます。

デザイン時の設定

Tableコントロールを配置し、繰返し領域を設定

デザイン設定の例

印刷結果

1ページ目:デザイン時に指定した領域まで明細が表示される

印刷結果1ページ目

2ページ目:明細が9行を超える場合、2ページ目に繰り越される

印刷結果2ページ目

Tablix(タブリックス)コントロール

Tableコントロールは行方向(下方向)にデータを繰り返し表示できるコントロールですが、Tablixコントロールは、行方向だけでなく列方向(横方向)にもデータを繰り返し表示できます。

このコントロールは、階層構造を持ったデータをExcelのピボットテーブルのように自由にグループ化し小計や合計を表示できることが最大の特長です。たとえば、下図のような四半期ごとの製品別売り上げデータを年度別およびカテゴリ別で小計するレポートを作るとします。

セクションレポートではこうした帳票を作成するためにはデータの加工が必要でしたが、ページレポートのTablixコントロールを利用すると非常に簡単に作成できます。実際のデザインを見てみましょう。

年度別・カテゴリ別・製品別販売金額レポート

デザイン時の画面

以下の設定だけで、階層の上位にあるグループ行やグループ列は、実行時やプレビュー時に自動的にセルがマージされます。

デザイン時の画面

プレビュー結果

帳票をビューワやプレビュー画面で表示すると、グループ化された階層に対して開閉ボタンが表示されます。

階層ボタンを設定し、デザイナ上で実行結果をプレビューした画面

複数のレイアウトを持つ帳票を簡単作成

帳票の要件として多いものの中に、1ページ目には帳票の鏡部と明細部を出力し2ページ目以降には明細部の続きを出力するといったようにページごとに異なるレイアウトを望むものがあります。ページレポートでは、1つの帳票に複数のレイアウトを設定できます。デザイナはMicrosoft Excelのシートのようなユーザーインタフェースで2ページ目、3ページ目を個別にデザインできるようになっています。

  • 鏡とは請求書や伝票に記載されている概要部分のこと。取引先や取引概要、総合計などが記載される。表紙のことを指す場合もある。

複数のレイアウトを持つ帳票を簡単作成

2ページ目に明細をオーバーフローする帳票

2ページ目に、前のページで設定した明細部分(繰り返しデータ)の続きを表示したい場合には、「オーバーフロープレースホルダーコントロール」を使用するのが適切です。以下にその例をご紹介します。

たとえば、1ページ目の冒頭に「鏡(あいさつ文や宛名など)」を配置し、その下から明細が始まり、明細が2ページ目にまたがって続くような印刷結果を得たい場合、以下のような帳票デザインを行います。

デザイン時
デザイン時の画面

これだけで完了です。プレビューで確認すると印刷結果と同じレイアウトが得られていることがわかります。

実行時プレビュー画面
実行時プレビュー画面

これだけで完了です。プレビューで確認すると印刷結果と同じレイアウトが得られていることがわかります。

1ページに明細を複数持つ帳票

今度は同一ページ内で、繰り返しデータの部分を2段組レイアウトのように出力する帳票を作成する方法をご紹介します。このような場合もテーブルとオーバーフロープレースホルダーを使います。

同じページ内に両方のコントロールを配置し、前述のようにTableコントロールの[OverflowName]プロパティにオーバーフロープレースホルダー名を指定するだけで対応できます。明細が3個の場合はさらにもう1個オーバーフロープレースホルダーを追加すればOKです。

デザイン時

1ページ目

デザイン画面1ページ目

出力結果

明細行が左から右に流れて表示されています。

出力結果

帳票関連の機能は定義ファイル内で完結

ページレポートの機能をご紹介するにあたり、いくつかの帳票サンプルをご覧いただきました。ページレポートでは、帳票定義がアプリケーションと独立したXML形式のファイル(*.RDLX)として管理されているのが特長です。

この方式により、レポート定義にコンパイル済みコードを埋め込むことはできませんが、逆にコンパイルを必要とせずに帳票定義を展開・差し替えできるため、運用・保守の面で高い柔軟性とメンテナンス性を実現できます。

また、ActiveReportsは.NETとのAPI連携にも優れており、既存の業務プログラムからページレポートを容易に呼び出すことが可能です。さらに、動的な処理が必要な場合には、Visual Basic(.NET)によるスクリプトの記述ができ、スクリプトから外部DLLの関数を呼び出すことも可能です。

RDLレポート

「ActiveReports for .NET 9.0J」で追加された「RDLレポート」の特徴は、必要な情報を自由に配置できる手軽さにあります。用紙サイズやセクション位置などのレイアウト制約を意識せずに設計できるため、主に印刷ではなくプレビューやExcel等へのファイル出力の用途に適した形式です。ここでは、こうした特徴をもつRDLレポートの機能についてご紹介します。

複数のデータソース

RDLレポートは、1つのレポートで複数のデータソースを使用できます。このため、表示したいデータが複数のデータベース/テーブルに分散している場合でも、特別なデータ処理をすることなく手軽に必要なデータを各レポートコントロールに表示できます。

複数のデータソース

データ閲覧に適したプレビュー形式

印刷時の用紙サイズを考慮した従来の印刷プレビューモードに加えて、すべてのデータを1ページとして閲覧できるゲラモードを用意しています。改ページなしですべてのデータを確認できるため、Tablixコントロールを使用した横に伸びるレポートの閲覧や、データ件数の多いレポートのプレビューに適しています。また、ゲラモードの状態でファイルに出力(エクスポート)することも可能です。他のレポート形式の場合、ページ単位でエクスポートされるのに対して、RDLレポートのゲラモードの場合、改ページ無しでまとめて出力されるため、表データなどの再利用がしやすくなります。

データ閲覧に適した印刷プレビューとゲラモード
印刷プレビュー
印刷プレビュー
ゲラモード
ゲラモード

レポート定義言語(RDL)

RDLレポートは、SQL Server Reporting Servicesと同様、レポート定義言語(RDL)で記述されています。RDL 2005 バージョンをベースに実装していますが、その後のRDLバージョンで追加されたMapコントロールへの対応や、独自の機能拡張を行っています(レポート内に目次を作成するTableOfContentsコントロールの追加など)。また、この形式はページレポート形式やダッシュボード形式のベースともなっており、これらのレポートで共用できるレポート部品「レポートパーツ」を作成できるのも、このRDLレポート形式のみとなっています。

ダッシュボードレポート

ダッシュボードレポートは、Webアプリケーション上でのダッシュボード作成に特化して設計されたレポート形式です。チャート・テーブルなどコントロールを用いてデータを可視化でき、インタラクティブなフィルタリング操作によって柔軟なデータ分析をリアルタイムで行うことが可能になります。

インタラクティブなレポート操作

ダッシュボードレポートの追加にあわせて、インタラクティブなレポート操作を可能にする「Apply Parameters(パラメータの適用)」機能が追加されました。この機能では、画面上に配置されたチェックボックスやテキストボックスなどのコントロールから、あらかじめ設定されたパラメータの値を変更することができます。これにより、ダッシュボードレポートに表示されるデータのフィルタリング操作などが可能となり、Webアプリケーションのダッシュボードに求められる柔軟なデータ表示を実現します。

エリアタブ機能

ダッシュボードレポートでは、レポートレイアウトを複数の「エリア」に設定した場合、画面下部に「エリアタブ」が表示されます。ビューワ上に表示するエリアをタブで切り替えることができるので、表示したいエリアの選択と切り替えをスムーズに行うことが可能です。

エリアタブ機能

スクロール可能なコンテナコントロール

レポート形式が「ダッシュボード」の場合、「コンテナ」コントロールの「オーバフロー」プロパティを「Auto」、「Scroll」に設定すると、「コンテナ」コントロールに配置した「テーブル」、「リスト」などのコントロールのデータ量に応じスクロールバーが表示されます。

スクロール可能なコンテナコントロール

どのレポート形式を使うか?

これまでご紹介してきたように、ActiveReports には4つのデザイン方式があります。ページレポート、RDLレポート、ダッシュボードレポートの登場によって、従来のセクションレポートがレガシーな技術になったのかというと、決してそうではありません。セクションレポートに対しても、各バージョンで機能強化が継続的に行われています。

セクションレポート、ページレポート、RDLレポート、ダッシュボードレポートは互いに補完し合う関係にあり、帳票様式に応じて使い分けることで、帳票作成をより効率的に行うことができます。

セクションレポート

セクションレポートの特長

  • 入れ子構造の「セクション」を繰り返していくだけのシンプルなアーキテクチャなので、階層データを効率よく表示できる
  • 帳票定義はクラスファイル。VB.NETやC#でイベントを駆使した柔軟なコーディングが可能
  • コーディングに慣れた人にとっては何でもできる安心感がある
こんな場合におススメ!
  • 大量データの一覧を出力したい
  • これまでと同じ手法でActiveReportsを使いたい
  • Visual BasicやC#を使って帳票を制御したい

ページレポート

ページレポートの特長

  • ページ単位で帳票をレイアウトし、レコード数に左右されない固定レイアウトが可能
  • WYSIWYGデザイナで直観的にデザイン可能
  • 表形式専用コントロール(Table/Tablix)で表作成・Excel出力時の罫線ズレを防止
  • 帳票定義が独立XMLファイルでメンテナンス性が高い
こんな場合におススメ!
  • 行政機関に提出する文書など、様式が定められている帳票を作成したい
  • 表組を多用したレイアウトにしたい
  • 直観的に帳票をデザインしたい

RDLレポート

RDLレポートの特長

  • 複数のデータソースを手軽に使用できる
  • 用紙サイズを気にせずにデザインできる
  • 表形式専用コントロール(Table/Tablix)で表作成・Excel出力時の罫線ズレを防止
  • 帳票定義がレポート定義言語(RDL)で記述されている
こんな場合におススメ!
  • 複数のデータソースを1つのレポートに表示したい
  • 大量のデータを1ページでプレビューしたい
  • SQL Server Reporting Servicesと同様のレポートを作成したい

ダッシュボードレポート

ダッシュボードレポートの特長

  • Webアプリケーション上での表示に最適化されたレイアウト機能
  • RDLレポートと同様に、複数のデータソースを視覚効果の高いさまざまなチャートやテーブルで可視化が可能
  • 画面上でのインタラクティブなフィルタリングによる動的な分析操作に対応
こんな場合におススメ!
  • Webアプリ上で、異なる情報をまとめて見せたい
  • 複数システムのデータをWeb上で統合・可視化したい
  • Web画面上でフィルターや条件を切り替えながら、動的にデータを分析したいとき

多くの帳票はどのデザイン方式でも作成できます。しかし、それは理論的に実現できるかどうかという話であり、作成にかかる工数という観点ではありません。ページレポートに向いている帳票をセクションレポート・RDLレポートで無理に実現しようとすると、工数がかかるだけでなく、保守性も悪くなります。

6.0JまでのActiveReportsはセクションレポートしかありませんでした。ActiveReportsの日本語版開発チームは、発売以来10年以上をかけて、日本のバラエティ豊かな帳票のすべてをこのセクションレポートだけで対応しようとしてきました。その結果、空行出力機能やセクションをまたいだ罫線を表示するコントロールなど、細かなカスタマイズ機能が生まれました。しかし、それでも作成できない文書形式がありました。ページレポート・RDLレポート・ダッシュボードレポートは、その部分を補完するためのものです。

どのレポート形式を利用するか?

レポートデザイン機能比較表

セクションレポート、ページレポート、RDL、ダッシュボード レポートの機能比較を下記に掲載しておきます。

セクションページRDLダッシュボード
レポート定義ファイル
XML形式(*.rpx)(*.rdlx)(*.rdlx)(*.rdlx)
コード形式(*.vb or *.cs)
その他レポート関連ファイル
テーマ(*.rdlx-theme)
共有データソース(*.rdsx)
デザイナ
Visual Studio 統合デザイナ
式エディタ
スクリプトエディタ(VB.NET or C#)(VB.NET)(VB.NET)(VB.NET)
レイヤー
ビューワ
Windowsビューワ
WPFビューワ
Webビューワ※1
JSビューワ※1
Windowsビューワ
注釈
レポートコントロール
BandedList
List
Tablix
Table
OverflowPlaceHolder
Chart
Barcode
Bullet
CheckBox
Container
CrossSectionLine
CrossSectionBox
FormattedText
Image
InputField※1
Label
Line
OleObject
PageBreak
Picture
ReportInfo
RichTextBox
Shape
Sparkline
TextBox
SubReport
Map※1
TableOfContents※1
インタラクティブ
ハイパーリンク
パラメータ
ドリルダウン/ドリルスルー(コーディング必要)
ソート
データ接続
ADO.NETデータプロバイダ、ADO.NETデータクラス、XMLファイル、CSVファイル、カスタム、アンバウンド
JSONファイル
共有データソース
エクスポート
HTML
PDF
RTF
Word(doc)
Word(docx)※1
TEXT
Image(bmp、emf、gif、jpg、png)
TIFF
Excel(xls、xlsx)
XML
CSV
JSON
PDFアドバンスド機能(外字、電子署名、PDF/A、PDF/UA1、印刷プリセット、太字)※1
グラフ
2D(28種類)HiLo、エリア、カギ足、ガント、ドーナツ、バブル、ピラミッド、ベジェ、ローソク足、散布図、積層棒、折れ線、棒、練行足など(30種類)カギ足、ガント、ピラミッド、練行足、ドットプロット、エリア、ドーナツ、バブル、ローソク足、横棒、散布図、積層棒、折れ線、棒、円など(30種類)カギ足、ガント、ピラミッド、練行足、ドットプロット、エリア、ドーナツ、バブル、ローソク足、横棒、散布図、積層棒、折れ線、棒、円など(30種類)カギ足、ガント、ピラミッド、練行足、ドットプロット、エリア、ドーナツ、バブル、ローソク足、横棒、散布図、積層棒、折れ線、棒、円など
3D(21種類)エリア、カギ足、ガント、ドーナツ、ピラミッド、ファンネル、ベジェ、リング、円、新値三本足、積層棒、折れ線、棒、練行足など(30種類)2Dと同じ(30種類)2Dと同じ(30種類)2Dと同じ
バーコード
対応規格(53種類)QRコード、マイクロQRコード、カスタマバーコード(郵便バーコード)、GS1-128(コンビニバーコード、旧称UCC/EAN-128)、GS1データバー、JAN13(EAN13)など(53種類)QRコード、マイクロQRコード、カスタマバーコード(郵便バーコード)、GS1-128(コンビニバーコード、旧称UCC/EAN-128)、GS1データバー、JAN13(EAN13)など(53種類)QRコード、マイクロQRコード、カスタマバーコード(郵便バーコード)、GS1-128(コンビニバーコード、旧称UCC/EAN-128)、GS1データバー、JAN13(EAN13)など(53種類)QRコード、マイクロQRコード、カスタマバーコード(郵便バーコード)、GS1-128(コンビニバーコード、旧称UCC/EAN-128)、GS1データバー、JAN13(EAN13)など
その他
テーマ
スタイルシート
綴り帳票(複写帳票)
スタンドアロンアプリケーション
レポートデザイナ
テーマエディター
レポートビューワ
  1. Professionalエディションでのみ使用可能

まとめ

ActiveReportsは、セクション(セクションレポート)、ページ(ページレポート)、フリー(RDLレポート)という3つのレイアウト方式を持つ帳票コンポーネントとして、多様な帳票ニーズに対応してきました。帳票に適したレイアウト方式を選択することで、あらゆる帳票を効率的かつ短時間で作成することが可能です。

そして最新バージョンのActiveReports for .NET 18.0Jでは、新たに「ダッシュボード」形式が追加され、レイアウト形式は4つになりました。このダッシュボード形式は、これまでの帳票とは異なり、Web上にチャートやテーブルなどの可視化コントロールを複数配置し、インタラクティブなフィルタリング操作によってデータを多角的に分析できるレポート形式です。

ダッシュボード形式が追加された背景には、近年ビジネスシーンで需要が高まっている「データを活用した意思決定」があります。従来のレポート形式と比較して、より多くのデータをレイアウト上に表示できるよう設計されており、「コンテナコントロールのスクロール表示」や「表示エリアのタブ切り替え」といった機能を活用することで、柔軟かつ高度なデータ分析を可能にします。

これまではセクションレポートのみを使用していた方や、それだけで要件を満たしていた方にも、ページレポート/RDLレポート、そして新たに加わったダッシュボード形式をぜひご活用いただきたい製品に進化しています。