株式会社BlueMeme

株式会社BlueMeme

ローコード技術とアジャイル手法を中心としたDX事業を手掛ける株式会社BlueMeme。2012年にローコード開発基盤「OutSystems」を日本で初めて導入し、日本のローコード開発市場を第一線でけん引している。同社では、OutSystems上でExcel業務をそのままWebで実現できるOutSystemsのオプション製品「OutSystems Rich Grid Component」を開発・提供しており、そこには高機能スプレッドシートライブラリ「SpreadJS」が活用されている。本記事では、「OutSystems Rich Grid Component」の開発背景やSpreadJSを採用した理由、そして導入企業が得られるメリットについて、BlueMemeの朱さま、沈さまにお話を伺った。

導入した製品

導入前の状況

OutSystemsを導入する顧客から、Excelライクな操作性を求める声が多数寄せられていました。しかし、従来の開発手法では、同様のUIを構築するために多くの開発工数やメンテナンスコストがかかり、その要求に応えることが課題となっていました。

導入の決め手

上記の課題を解決するため、SpreadJSを「OutSystems Rich Grid Component」としてOEM導入しました。決め手となったのは、開発工数の大幅な削減と手厚いサポート体制です。SpreadJSを活用することで、従来2週間~1か月かかっていた画面開発がわずか2〜3日で開発可能となりました。また、メシウスの充実したサポートがあるため、お客さまに安心して製品を提供できるという点も魅力でした。

導入による効果

「OutSystems Rich Grid Component」をOEM契約によって自社製品として提供することで、契約の一本化という明確なメリットをお客さまに提示できるようになり、商談の確度が向上しました。
開発面でも、コード量の削減によるメンテナンスコストの低減を実現し、運用後の負担を大きく軽減しました。これらの相乗効果によって、ExcelライクなUIを求める顧客への提案が容易になり、営業面でも強力な武器となっています。

SpreadJSをOutSystemsで使える部品にすることでローコード開発の強みを活かす

―はじめに、SpreadJSが導入されている「OutSystems Rich Grid Component」について教えてください。

朱さま
OutSystems Rich Grid Componentは、メシウスのJavaScriptライブラリ「SpreadJS」をローコード開発基盤「OutSystems」上で利用できるようにコンポーネント化した製品です。

―なぜSpreadJSをOutSystemsで使用するためにコンポーネント化したのでしょうか?
朱さま
我々のお客さまは、既存システムのマイグレーションでOutSystemsを利用しWebシステム化するケースがあり、「今までの操作性を再現したい」という声が重視されます。その中でExcelと同様のUIと機能性を求める声が非常に多いんですね。エンジニアの方であれば再現することができるかもしれませんが、OutSystemsは「ローコード開発ツール」であり、非エンジニアの方も使用します。SpreadJSをコンポーネント化することで、JavaScriptの高度な技術や知識が無くても、コードを書かなくても、GUIでプロパティを設定して簡単に再現することができるので、ローコード開発の強みを活かす製品になっています。

取締役
朱 未さま

―お客さまから「Excelライク」の要件が多かったのですね。コンポーネント化するにあたって、SpreadJSを選択した理由は何でしょうか?

朱さま
実は初めからいきなりSpreadJSを使うと決めたわけではなく、海外のライブラリもいくつか試しました。どのライブラリも、1画面は作ることができるけど複数シートを作ったり、画面を変えたり、そういったことに対応していくとどうしても開発工数が膨らんでしまう。実現したい機能面や工数削減のメリットなどを総合的に考えてSpreadJSが一番良いという判断で採用を決めました。

―機能面で“決め手”となったものはありますか?

沈さま
SpreadJSで非常に良い機能だと感じているのはデータバインドの部分です。SpreadJSでは、デザイナで作成したレイアウトをシートに読込み、データベースやAPIから取得したデータをシートに設定するだけでデータバインドが行えます。画面上にデータとビューを合わせて表示するという仕組みが、考え方も実装もとてもシンプルで活用しやすかったです。他の方法で実装するとしたらJavaScriptをゴリゴリ書かなきゃいけなくなるので、このデータバインドの機能はSpreadJSの大きなメリットであり、使わないのはもったいないなと感じています。

テクニカルアカウントマネジメント
リーダー
沈 笠さま

―メシウスのサポートにもご満足いただけているとお聞きしました。

朱さま
メシウスのE-mailサポートはレスポンスがすごく良いと感じています。製品自体の品質が良いので問合せることは少ないのですが、「こういうふうに試したけど上手くいかない」という時に問合せると数日で回答をいただけたりとか、製品のアップグレードによって何か不具合が起きた場合でも回避策をご提案いただけるので、心地よくやり取りができています。日本国内での豊富な製品導入実績があるので、弊社のお客さまにも安心感を持ってコンポーネントを提供できています。

―SpreadJSを導入したことによってどの程度の工数が削減されていると感じますか?

朱さま
SpreadJSを使わないで開発した場合、1画面実装するだけでも、画面の操作性によっては2週間から1か月はかかってしまうところが、2~3日もあれば完成まで持っていけます。また、メンテナンスの観点からも、コードの数が少なくスマートに開発できるので、工数が削減できていると感じています。

Rich Grid Componentは製造業で多く採用。現場が求めるExcelライクなUIをWebで再現

―実際にOutSystems Rich Grid Componentはどのような要件で利用されているのでしょうか?

沈さま
Excelで対応していた業務のWeb化や、既存システムのマイグレーションや刷新などが多いです。具体的には、ローカルのExcelでしかできない従来の作業があって、Excelファイルのやりとりでは手間がかかって苦労している、Excelのバージョンのコントロールがすごく難しい、という課題の解決のためにWeb化をされるケースです。システムの刷新では、Rich Grid Componentでデータをインポートするフォーマットを作り、既存データをインポートして活用するケースが多いです。データベースから直接データをWebで表示して、Excelの操作性を保ちつつシステムを設計できるところが評価されているポイントかなと思います。

―どういった業界のお客さまが多いのでしょうか?

朱さま
業界を問わず導入はされていますが、製造業をはじめとしたメーカー系の企業さまが多いです。製造業の特徴として、多くの情報を全部いっぺんに見たいとか、多くの項目を横スクロールしながら見たいとか、いろいろな形式で記入された帳票を去年の分と見比べしたいとか、そんな要望が多いので、そうするとExcelの形が操作もしやすくて最適なんですね。Rich Grid Componentを使用すると開発も楽ですし、ユーザーの操作性においてもメリットがあります。

沈さま
主な利用シーンとしては、生産管理や予実管理、部品管理表、部門を横断した予算/コスト集計表、見積書の作成などが多いです。最近扱った案件では財務帳票の管理システムがありました。Excelファイルをローカルで扱っていて誰が作業しても履歴が残らず、バラバラに管理されていてセキュリティ面でも課題がありましたが、財務データ自体をOutSystems上で保管することで分析もできるようになりました。データ集計・分析系のアプリではピボットテーブル機能の活用事例も多くあります。

朱さま
お客さまが会社としてDXを推進している流れがあり『脱Excel』というお話もありますが、UIや操作性としてはExcelライクを残しておきたい、というのが正直な感覚だと感じています。

ローコード開発者でも使いやすく。お客さまからの評判は?

―Rich Grid Componentの開発において、SpreadJSの使い勝手はいかがでしたか?開発苦労話などもあれば教えてください。

朱さま
最初はデザイナを使わずにJavaScriptで組み込みを試したのですが、それだとSpreadJSの良さを引き出せないと感じ、先にお話したデータバインドの機能を使う方向に舵を切りました。データとビューの組み合わせであるという概念は同じなので、レポートやガントチャートを表示する、あるいはデータソースだけをグリッドに表示する、というようなハイブリッドな使い方もできるようになりましたし、OutSystemsとの親和性も上がりました。

沈さま
苦労した点としては、SpreadJSは機能が豊富であるため、ローコード開発者が使いやすくするためにどのように組み込むか、という部分です。「OutSystemsで使う部品」という視点で見た時に、SpreadJSのままだと使いにくい機能についてはラッピングして提供しています。開発者の視点と部品としての視点、2つの視点で設計していく判断が難しかったです。

―Rich Grid Componentを利用して開発をされたお客さまからの評判はいかがでしょうか?

沈さま
弊社には、先ほど申し上げたとおり生産管理を必要とするメーカー系の企業のお客さまが多いのですが、Rich Grid Componentはそういったお客さまに求められる機能がかなり揃っているので、Rich Grid ComponentをきっかけにOutSystemsの契約に結び付くパターンも多くあります。評判は良いと感じています。

朱さま
エンジニアの方の中にはSpreadJSという製品自体を知っている方も多いので、メシウスのWebサイトのSpreadJSのリリース情報を確認して「Rich Grid ComponentにSpreadJSの新機能は入りますか?」と問合せをしてくださるお客さまもいます(笑)

実際に開発されたアプリケーションを利用しているエンドユーザーさまからの反応はいかがでしょうか?

朱さま
現場のエンドユーザーさまの声を直接聞いたことはないのですが、これまでRich Grid Componentの契約について解約は無く継続してご利用いただいている状態ですし、使い勝手が悪いといった声をいただいたことも無いので、高く評価されていると感じています。

OEM契約で「Excelライク実現」が営業の武器に。今後の展望は?

―「OutSystems Rich Grid Component」はOEMとして契約させていただきましたが、自社製品としてお客さまにご提供するメリットや、OEMの総合的な評価を教えてください。

朱さま
Excelライクを実現したいというお客さまのニーズに応えることができるので、営業面でも提案の幅が広がりました。また、OEMとして組み込んだことでOutSystemsとSpreadJSの連携部分をあらかじめ統合した形でお客さまに提供できるため、契約の一本化なども含め、導入の手間を大幅に削減することができました。結果として、コスト面でも十分に回収できていると考えています。

―最後に、「OutSystems Rich Grid Component」の今後の展望を教えてください。

朱さま
Rich Grid Componentは現在SpreadJS V17Jに対応しています。まずはこちらを最新版のV18Jにアップデートする予定です。SpreadJSはどんどん新しい機能が追加されるので、Rich Grid Componentも継続的なバージョンアップを通じてお客さまのニーズに応えられるような製品にしていきたいです。

沈さま
メシウスさんに1つリクエストですが、お客さまから要望があったので、ピボットグラフの機能をぜひ入れてもらえると嬉しいです。

―ローコードの強みを活かした部品化のお話はとても参考になりました。また、OEM契約によって御社の営業活動にも効果を見出せたこと、大変嬉しく思います。本日はありがとうございました。


取材協力:2025年9月

株式会社BlueMeme

株式会社BlueMeme

本社所在地〒101-0054
東京都千代田区神田錦町3-20
錦町トラッドスクエア10F
設立2006年12月
主な事業内容ローコード技術とアジャイル手法を中心としたDX事業
・ビジネスアーキテクチャ・コンサルティング
・大規模アジャイル開発プロジェクトマネジメント
・ローコードを中心としたシステム受託開発
・ローコードエンジニアの育成及び教育
・ソフトウェア製品の販売及びサポート
URLhttps://www.bluememe.jp/

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